


灘櫛・・・通販で急に亀グッズを集め始める。
酢竿野・・・ペットの白鳥が鳥インフルエンザにかからないか心配して少し過保護になっている。
甘手・・・酢竿野へのクリスマスプレゼントにと「日本の神楽」という本を購入。
山手部長・・・冬のボーナス払いの住宅ローンが払えるかどうかが心配。
そんな灘櫛の気持ちなどおかまいなしに、
酢竿野はグイグイと自分の世界に灘櫛を引っ張り込み
いつしか、灘櫛は酢竿野の自転車の後ろに乗っていた。
灘櫛はどんなに「酢竿野が亀だ」などというわけのわからない事態でも、
自転車の二人乗りが出来たことが今はうれしかった。
酢竿野
「大丈夫?」」
灘櫛
「酢竿野さん、自転車通勤だったんですね」
酢竿野
「この自転車、ただの自転車じゃないんだよ」
灘櫛
「え?電動自転車ですか?」
酢竿野
「いや、そういう意味じゃなくて」
灘櫛
「じゃあどういう意味で?」
酢竿野
「これからわかるよ。いい?しっかりつかまって!」
灘櫛
「え?」
その瞬間、二人の乗った自転車は空を飛んだ
灘櫛
「きゃあ~!なんなんですか?ちょ、ちょっとぉ~~」
酢竿野
「手を放さないでよ!」
灘櫛
「そ、そ、空を飛んでます!」
酢竿野
「ただの自転車じゃないって言ったでしょ?」
灘櫛
「そうだけど・・・」
酢竿野
「この自転車、龍なんだ」
灘櫛
「え?どう見てもただの自転車に見えるのに?」
酢竿野
「ハハハ・・・君って本当にユニークだね」
灘櫛
「いや、あなたに言われたくないですね」
酢竿野
「まあ、自転車っぽくしてるからなぁ」
灘櫛
「自転車っぽくするって・・・」
酢竿野
「僕の親友さ」
灘櫛
「あ~、だから龍グッズが好きなのね」
酢竿野
「あ、ばれた?」
灘櫛
「う、う、うん」
酢竿野
「ほら、宍道湖に夕日が溶けてるよ」
灘櫛
「わあ~~~、きれい!!」
酢竿野
「このきれいな景色を守るのが僕の使命なんだ」
灘櫛
「どういう意味?」
酢竿野
「僕は島根の神々の使者。シジミを守って、宍道湖を守っていくために人間界に来たんだよ」
灘櫛
「信じられないけど・・・本当なのね・・・」
酢竿野
「信じてくれた?」
灘櫛
「・・・信じるわ」
酢竿野
「良かった♪」
そしてそのままふたりはきれいな夕日の中に消えていった。
宍道湖ウサギの傍では山手部長が奥さんからのメールの返信を書いていた。
返信を終えた山手部長は、目の前のふたりが消えていることを不思議に思いながら
急いで奥さんから送られてきた買い物リストの買いだしに出かけた。
*島根ワンポイントレッスン*
(注1)シジミ・・・
宍道湖で採れるおいしい貝。お酒を飲み過ぎたらシジミ汁が良く効く。
広島県在住。
ラジオDJ&ラジオドラマ
制作出演ほか、幅広く執筆活動を行う。独特な世界観が老若男女問わずに人気。
2003年から3年間続いた「ほぼ日刊イトイ新聞」の『ほめ道を往く。』も担当。
プチフランソワーズな毎日
http://vivafran.com/